Endless Notes

果てしなく広がる美しい自然界
対極にある、果てのない人間界
環境の今を綴る写真家ノート

vol.3 The Insects

Endless Notes

果てしなく広がる美しい自然界
対極にある、果てのない人間界
環境の今を綴る写真家ノート

vol.3 The Insects

美しい風景の奥にある、地球の「いま」。

気候変動や環境破壊が進む現代、私たちの暮らしと自然との関係は大きな転換点を迎えています。

自然写真家・柏倉陽介氏は、ただの美しさにとどまらず、
地球が抱える課題や変化の兆しを写真に刻み込んできました。

本ページでは、柏倉氏の作品を通して、
自然の多様な表情とその背景にある環境の現状を見つめ直す機会をお届けします。

美しい風景の奥にある、地球の「いま」。

 気候変動や環境破壊が進む現代、私たちの暮らしと自然との関係は大きな転換点を迎えています。

 自然写真家・柏倉陽介氏は、
ただの美しさにとどまらず、 地球が抱える課題や変化の兆しを写真に刻み込んできました。

 本ページでは、柏倉氏の作品を通して、
 自然の多様な表情とその背景にある環境の現状を見つめ直す機会をお届けします。

volume.3
Episode of
the Insects

volume.3
Episode of the Insects

昆虫の進化は約4億8000万年前の古生代オルドビス紀に始まりました。昆虫たちは進化の過程で、色や形を操りながら、独特ともいえる外観を獲得してきました。黄金に輝く殻、羽をコンパクトに折りたたむ術、葉に溶け込む迷彩柄など、その姿は見る者を虜にする美しさを放ちます。驚くべきことにそれらは単に美しいだけでなく、生き延びる機能としての役割も持ち合わせているのです。虫が好きな方も苦手な方も、極限まで研ぎ澄まされた機能美をご覧ください。

001_DSF3672.jpg__PID:375a1c91-77c5-48f1-9c53-f5947e5a72cb

コノハムシは東南アジアを中心に分布する擬態昆虫で、葉にそっくりな体をもつことで知られています。葉脈のような模様や色合いは保護色と形態擬態の両方の性質を持ち、極めて高度なカモフラージュをします。
足にも葉のような「小葉片」があり、全身で1枚の葉を演出しています。風で揺れるとき、体を軽く揺らして本物の葉のように見せることもあります。

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モルフォチョウはアマゾン流域、ブラジル、ペルー、コロンビアなどの中南米に生息します。金属光沢のある鮮やかな青い翅が特徴で、モルフォはギリシャ神話の美の女神アフロディーテの別名です。
表側は青く光る美しい構造色で、裏側は茶色ベースで目玉模様があります。飛んでいるときに「青と茶」が交互に見えるため、捕食者は動きが読めず混乱します。モルフォチョウの翅の青は色素によるものではなく、構造色(こうぞうしょく)と呼ばれています。微細な「鱗粉(りんぷん)」のナノレベルの構造が光を反射し、特定の波長の光(例えば青)が反射されることで輝くような青として見えます。
構造色の仕組みは紙幣や化粧品、太陽光パネルにも応用されています。

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ニジイロクワガタは光沢のある金属的な体色が特徴で、緑・赤・紫・青など個体差があり、虹色と形容されています。主にオーストラリアのクイーンズランド州北部の熱帯雨林に生息しています。ニジイロクワガタの美しい色は、構造色によるものです。体の表面構造が光を干渉・反射させて色を生み出す仕組みで、モルフォ蝶などと同じ原理です。

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マダガスカルオナガヤママユ(Argema mittrei)
マダガスカル島に生息する世界最大級の蛾の一つで、長い尾状突起を持つ後翅が特徴的な美しい大型の蛾です。成虫は口を持たず餌を食べないため、成虫の寿命はわずか4~5日程度です。アフリカ大陸ではなく、マダガスカル島の固有種であり、他では自然分布していません。

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ランタンフライは南東アジアに分布するガガンボ科(Fulgoridae)のカメムシの一種で、頭部には細長く上向きになった“ランタン”の突出部(頭突起)があります。幼虫から成虫まで植物の汁(樹液)を吸って生活し、好んでライチやロンガンの木を利用することがあります。


 パプアキンイロクワガタはパプアニューギニアに生息する非常に美しいクワガタムシで、金属光沢を持つ体色が特徴です。緑、青、金、銅などの虹色の構造色をもち、「宝石クワガタ」とも呼ばれることもあります。オスは比較的大きな大顎を持ち、樹液場や繁殖時に他のオスと戦います。熱帯雨林の中、倒木や腐植質のある林床を生育環境としています。

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タマムシは全身が金属光沢(構造色)に輝く甲虫で日本でも見られます。全身が緑~青~紫~赤色の金属光沢をもち、まさに宝石のような昆虫です。光沢は色素ではなく、鱗片の微細構造によって生まれる構造色を持っています。強烈な金属光沢と鮮やかな色彩で知られ、昆虫愛好家や標本収集家から非常に人気があります。

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コノハムシは東南アジアを中心に分布する擬態昆虫で、葉にそっくりな体をもつことで知られています。葉脈のような模様や色合いは保護色と形態擬態の両方の性質を持ち、極めて高度なカモフラージュをします。
足にも葉のような「小葉片」があり、全身で1枚の葉を演出しています。風で揺れるとき、体を軽く揺らして本物の葉のように見せることもあります。

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モルフォチョウはアマゾン流域、ブラジル、ペルー、コロンビアなどの中南米に生息します。金属光沢のある鮮やかな青い翅が特徴で、モルフォはギリシャ神話の美の女神アフロディーテの別名です。
表側は青く光る美しい構造色で、裏側は茶色ベースで目玉模様があります。飛んでいるときに「青と茶」が交互に見えるため、捕食者は動きが読めず混乱します。モルフォチョウの翅の青は色素によるものではなく、構造色(こうぞうしょく)と呼ばれています。微細な「鱗粉(りんぷん)」のナノレベルの構造が光を反射し、特定の波長の光(例えば青)が反射されることで輝くような青として見えます。
構造色の仕組みは紙幣や化粧品、太陽光パネルにも応用されています。

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ニジイロクワガタは光沢のある金属的な体色が特徴で、緑・赤・紫・青など個体差があり、虹色と形容されています。主にオーストラリアのクイーンズランド州北部の熱帯雨林に生息しています。ニジイロクワガタの美しい色は、構造色によるものです。体の表面構造が光を干渉・反射させて色を生み出す仕組みで、モルフォ蝶などと同じ原理です。

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マダガスカルオナガヤママユ(Argema mittrei)
マダガスカル島に生息する世界最大級の蛾の一つで、長い尾状突起を持つ後翅が特徴的な美しい大型の蛾です。成虫は口を持たず餌を食べないため、成虫の寿命はわずか4~5日程度です。アフリカ大陸ではなく、マダガスカル島の固有種であり、他では自然分布していません。

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ランタンフライは南東アジアに分布するガガンボ科(Fulgoridae)のカメムシの一種で、頭部には細長く上向きになった“ランタン”の突出部(頭突起)があります。幼虫から成虫まで植物の汁(樹液)を吸って生活し、好んでライチやロンガンの木を利用することがあります。

 パプアキンイロクワガタはパプアニューギニアに生息する非常に美しいクワガタムシで、金属光沢を持つ体色が特徴です。緑、青、金、銅などの虹色の構造色をもち、「宝石クワガタ」とも呼ばれることもあります。オスは比較的大きな大顎を持ち、樹液場や繁殖時に他のオスと戦います。熱帯雨林の中、倒木や腐植質のある林床を生育環境としています。

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タマムシは全身が金属光沢(構造色)に輝く甲虫で日本でも見られます。全身が緑~青~紫~赤色の金属光沢をもち、まさに宝石のような昆虫です。光沢は色素ではなく、鱗片の微細構造によって生まれる構造色を持っています。強烈な金属光沢と鮮やかな色彩で知られ、昆虫愛好家や標本収集家から非常に人気があります。

volume.2
Episode of
Yakushima island

近年では、急速な森林伐採や都市開発、殺虫剤や除草剤の散布、単一作物の栽培などが昆虫の生息域を奪っています。食物連鎖を考えても、昆虫の棲める世界を維持することは私たち人類の命を助けることに繋がっています。今夏、北海道恵庭市にあるエコロジーテーマパーク「えこりん村」にて、昆虫の機能美をテーマにした作品展が開催されます。この機会に昆虫たちの美に興味を持っていただけたら幸いです。

Beautility 昆虫たちの機能美展 2025― 写真家・柏倉陽介 撮り下ろし作品展 ―

 作品展概要
期間:2025年07月19日(土)~08月31日(日)
時間:10:00-17:00
場所:北海道恵庭市「えこりん村 SHEEP SHEEP" CLUBHOUSE」
観覧:無料

詳細はこちら

写真家

柏倉陽介 - Kashiwakura Yosuke -

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国内外を問わず、自然に関わるテーマを精力的に撮影している。文明と野生の衝突地帯に生きるオランウータンのリハビリテーション風景を中心として、制作に15年をかけた写真集『Back to the Wild 森を失ったオランウータン』を上梓。『オランウータンと緑の津波』と題した巡回展を北海道旭山動物園、えこりん村、円山動物園にて開催した。世界最大の霊長類保護支援団体であるBOS財団が主催する「MOVING PICTURES展」をはじめ、米国立スミソニアン自然史博物館、ロンドン自然史博物館、国連気候変動枠組条約締約国会議にて作品を展示している。LensCulture Earth Awards、ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテスト、ワイルドライフフォトグラファー・オブザイヤーなどに入賞し、Monochrome Photography Awards / ランドスケープ・フォトグラファー・オブザイヤーを受賞。Monochrome Photography Awardsの審査員も務めている。2025年より「Endless」と題した環境撮影プロジェクトを開始した。

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Episode of Borneo island

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Episode of Yakushima island

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Episode of the Insects